2025/12/31 12:00
2025年の米ビルボード・チャートは、記録更新、さらには記録を大幅に塗り替える成果が相次いだ一年となった。
テイラー・スウィフトは、ソロ・アーティストとして米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”における首位獲得アルバム数を15作に更新した。最新の大ヒット・アルバム『ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール』が初登場1位を記録したことでこの偉業が達成された。同作は、データ集計会社ルミネイトによると、米国での初週に400万を超えるアルバム換算ユニットを獲得。約10年前にアデルの『25』が打ち立てた初週約350万という従来の記録を大きく上回った。
同ソング・チャート“Hot 100”では、マライア・キャリーの「All I Want for Christmas Is You」が首位在位週数20週という新記録を樹立し、2019年に始まった“ホリデー・シーズンのチャート支配”をさらに積み重ねた。
このほかにも2025年には、R&B/ヒップホップ・チャート“Hot R&B/Hip-Hop Songs”史上における単一楽曲の首位在位週数最多記録、単一アーティストによるHot 100のTOP10入り曲数最多記録、そして一つのサウンドトラックから同時に送り込まれたHot 100のTOP10曲数最多記録など、新たな最高到達点が次々と書き加えられた。
ポップからカントリー、ロック、R&B/ヒップホップ、ラテン、ダンスまで、2024年、2023年、2022年、2021年、2020年、そしてそれ以前の時代と同様に、ベテラン勢から新鋭までが米ビルボード・チャートの歴史に新たな章を書き加えた。
2025年も終盤を迎え、そして2026年に向けてさらなる歴史更新が確実視される中、ここでは2025年に達成された米ビルボード・チャートの主な快挙25項目を、数字と達成順に振り返る。
◎テイラー・スウィフト(400.2万)
データ集計会社ルミネイトによると、10月18日付のBillboard 200で、
テイラー・スウィフトの『ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール』が初週に400.2万のアルバム換算ユニットを獲得し、記録を大幅に塗り替えるスタートを切った。同様に驚異的な数字だった2015年のアデル『25』による348.2万を大きく上回っている。
さらにスウィフトは、本作でBillboard 200通算15作目の首位を獲得。1956年のチャート開始以降、ソロ・アーティストとして最多となり、これまで並んでいたジェイ・Zを単独で上回った。
スウィフトは、「ファンのみなさんに伝えたい“ありがとう”が400万個ありますし、このアルバムを、もともと感じていた以上に誇りに思える理由も400万あります。本当にただただ驚きです。素敵な花束をありがとうございます」とコメントした。
◎マックス・マーティン(26)
テイラー・スウィフトは、『ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール』収録の「The Fate of Ophelia」を、マックス・マーティンおよびシェルバックと共作・共同プロデュースした。同曲は10月18日付のHot 100で初登場1位を果たし、スウィフトにとってアーティストとして通算13曲目の首位獲得となった。この1位により、マーティンはソングライターとして通算28曲目の首位を記録。これはポール・マッカートニーの32曲に次ぐ歴代2位となる。また、プロデューサーとしては自身の記録を更新する通算26曲目の首位となった。
◎テディ・スウィムズ(112)
テディ・スウィムズの「Lose Control」は、2023年8月に99位で初登場して以降、2025年10月18日付のチャートまでにHot 100滞在週数を通算112週に伸ばし、最長記録を更新した。その過程で2024年3月に首位を1週獲得し、2024年のHot 100年間チャートで1位に輝いた。
スウィムズは、今年2月にビルボード・ニュースによるHot 100のTOP10週間総括企画に登場した際、「みなさんのアップデートをいつも見るのが大好きなんです。“さあ、テディ・スウィムズの登場だ!”って感じで」と語っていた。
◎レディー・ガガ&ブルーノ・マーズ(51&60)
二人の「Die With a Smile」は、1月から5週にわたってHot 100の首位を獲得した後、2025年のHot 100年間チャートで1位に輝いた。同曲はTOP10内に51週、チャート全体では通算60週ランクインし、10月18日付のチャートが最後の登場となった。これら2つの数字はいずれも、男女アーティストの共同名義によるデュエットとして、Hot 100史上最多記録となっている。
◎シザ(43)
シザの『SOS』は、11月22日付の“Top R&B/Hip-Hop Albums”チャートで首位在位週数を通算43週に伸ばし、1965年のチャート開始以降、最長首位在位アルバムとしての地位をさらに強固なものにした。なお、6月14日付のチャートでは首位在位38週目を記録し、1983年から1984年にかけてマイケル・ジャクソンの『スリラー』が保持していた37週という40年以上破られなかった記録を更新している。
◎ゴードン・ライトフット(50)
フォーク界のアイコンである故ゴードン・ライトフットが1976年に発表した「The Wreck of the Edmund Fitzgerald」が、ビルボード・チャートで初めて1位を獲得した。題材となった同名船の沈没から50年以上を経ての快挙となる。沈没事故の追悼と周年を背景に、同曲は11月22日付のロック・デジタル・ソング・セールス・チャート”Rock Digital Song Sales”で首位に立った。
◎Stray Kids(8)
Stray Kidsは、12月6日付のBillboard 200で『DO IT』が初登場1位を記録し、通算8作目の首位獲得を達成した。8作はいずれも初登場での首位となっており、その始まりは2022年の『ODDINARY』まで遡る。さらに2024年、アルバム『HOP』が初登場1位を獲得したことで、Stray Kidsは1956年のチャート開始以降、初エントリーから6作連続で初登場首位を記録した初のアーティストとなった。今年9月には『KARMA: The 4th Album』が初登場1位となり、この記録は7作に更新。そしてちょうど3か月後、『DO IT』の登場によって、その数字はさらに塗り替えられた。
◎エアロスミス(1970年代~2020年代)
エアロスミスがヤングブラッドとタッグを組んだEP『ワン・モア・タイム』が、12月6日付のBillboard 200で9位に初登場した。これはエアロスミスにとって通算10作目のTOP10入りであり、ヤングブラッドにとっては初のTOP10作品となる。これによりエアロスミスは、ザ・ローリング・ストーンズに続き、1970年代から2020年代までの各年代で少なくとも1作の新規TOP10作品を記録した史上2組目のグループとなった。なお、この期間に各年代で新たなTOP10作品を送り出したアーティストは、全体でもエアロスミス、ポール・マッカートニー、ザ・ローリング・ストーンズ、ブルース・スプリングスティーン、ジェームス・テイラーの5組に限られている。
◎デヴィッド・ゲッタ(20)
デヴィッド・ゲッタは、テディ・スウィムズとトーンズ・アンド・アイを迎えた「Gone Gone Gone」が12月13日付の“Dance/Mix Show Airplay”チャートで首位に到達したことで、同チャートで通算20曲目の1位を記録した初のアーティストとなった。ゲッタは2000年代と2010年代にそれぞれ4曲の1位を獲得しており、2020年代には現時点までに12曲を積み上げている。
◎ワム!(2)
ワム!の「Last Christmas」は、12月13日付のHot 100で4ランク上昇し2位に到達。アンドリュー・リッジリーと2016年に亡くなったジョージ・マイケルによる1984年の英デュオの名曲は、これまでの最高位だった3位を上回り、同チャートで新たなピークを記録した。さらに翌週には、グローバル・チャート“Billboard Global 200”で初の首位を獲得している。
リッジリーは米ビルボードに対し、「この曲がこれほど多くの人の心の中で特別な場所を占めていることの素晴らしい証だと思いますし、ジョージ・マイケルもきっと誇りに感じてくれたはずです。自分たちの“ささやかなメリー・クリスマス”としてこの曲を受け入れてくれた、すべてのみなさんに感謝します」と語った。
◎ピンク・フロイド(993)
ピンク・フロイドの『狂気』(原題:The Dark Side of the Moon)は、1973年3月にBillboard 200に初登場し、同年4月に1週首位を獲得した。その後、2025年12月20日付のチャートで、通算993週目のランクインを記録している。2026年は、同作がチャート通算1,000週目に到達する年となるのだろうか。
◎マライア・キャリー(20)
クリスマスの女王、そして数々の米ビルボード記録保持者であるマライア・キャリーの「All I Want for Christmas Is You」は、12月20日付のHot 100で、首位在位通算20週目を記録した。これは、シャブージーの「A Bar Song (Tipsy)」が2024年に記録した19週、そしてリル・ナズ・Xがビリー・レイ・サイラスを迎えた「Old Town Road」が2019年に記録した19週を上回り、同チャート史上最長となる。なお、キャリーは1996年から2019年までの23年以上にわたり、ボーイズIIメンとのバラード「One Sweet Day」によって、同記録を保持、もしくは共有していた。
キャリーはインスタグラムで、「謙虚な気持ちで栄冠を取り戻します!!1位通算20週です。心から感謝しています」と喜びを表した。
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